小説『愛しても届かない』のあらすじをネタバレ込みで紹介します。長文感想も書いていますのでどうぞ。

唯川恵さんは女性心理の機微を描くことで知られる人気作家です。2001年に発表された長編恋愛小説『愛しても届かない』でも、恋に溺れゆく女性の姿が生々しく描かれており、読み手の心を揺さぶります。

好きになった相手に恋人がいたら、あなたは諦めるでしょうか。それとも――。主人公の七々子は、一目惚れした男性に恋人がいると知りながら、簡単に気持ちを断ち切ることができませんでした。心の中で「いけない」とわかっていても募る想いは止められず、七々子は危うい感情に突き動かされていきます。

禁断の恋に身を投じた七々子が選んだのは、彼の恋人に近づいて友達になるという驚くべき行動でした。嘘を重ねてまで愛を追い求めた彼女を待つ結末とは――。読み終えたとき、切なさと衝撃が胸に残ることでしょう。

小説『愛しても届かない』のあらすじ

大学生の七々子は、飲み会で出会った同じ大学の青年・駿(しゅん)に一目惚れしました。しかし、駿には美咲という恋人がいたのです。

当時七々子自身にも尚人(なおと)という恋人がいましたが、それでも駿への想いを諦めることができません。「彼女がいるからといって諦められない」と七々子は自分に言い聞かせ、尚人とのデート中も上の空になるほど駿への想いを募らせていきました。七々子は恋という“魔物”に取り憑かれたように、次第に駿のことで頭がいっぱいになっていきました。

七々子が考え抜いた末に選んだ行動は、駿の恋人である美咲に近づき、友達になることでした。美咲は人懐こく優しい女性で、七々子をすぐに受け入れます。二人は急速に親しくなり、美咲は七々子に恋人である駿の悩みを打ち明けるほど信頼を寄せていきました。

しかし七々子は裏では嘘を重ね、美咲と駿の関係に小さな亀裂を入れていきます。美咲には「駿が他の女性と親しくしていた」と吹き込み不安を煽り、駿には「美咲があなたに隠し事をしているようだ」と示唆するなど、巧みに二人の仲を裂こうとしました。

やがて美咲と駿は誤解と不信から別れてしまい、七々子は念願叶って駿と付き合うことになります。七々子は尚人とも別れ、駿との恋に全てを賭けて幸せを手に入れました。ようやく想いが通じた七々子は、長い片思いから解放されて喜びに浸ります。

ところが、駿との恋人生活は七々子にとって常に不安と隣り合わせでした。七々子はいつも美咲の存在を意識し、駿の心に今も美咲の影が残っているのではないかと怯えて過ごします。そして皮肉にも、最後には美咲が七々子に同じ手段で仕返しをし、七々子から駿の心を奪い去ってしまうのです。こうして七々子の恋は、まさに「愛しても届かない」という皮肉な結末を迎えました。

小説『愛しても届かない』の長文感想(ネタバレあり)

物語を通じて強烈に描かれているのは、七々子の抑えがたい恋心です。一目惚れという出会いから、彼女の中で恋という“魔物”が疼き始め、理性ではいけないと分かっていても止められない。この恋に取り憑かれたような七々子の姿に、読者は圧倒されつつも引き込まれていきます。七々子の胸が高鳴り、気づけば日常のすべてが駿への想いに支配されていく様子は、恋に落ちたときの高揚感と苦しさを見事に映し出しています。あの瞬間に駿と出会わなければ、七々子の人生はもっと穏やかだったのかもしれない――そう思わせるほど、一度火がついた彼女の恋の炎は激しく燃え広がっていきます。公式のあらすじでも「『恋』という魔物にとりつかれた女は、ときに、自分自身でも思いがけないことをしてしまう。七々子の場合がそうだった」と紹介されている通り、本作は恋という名の魔物に翻弄される女性の物語なのです。

常識的には、恋人がいる人に惹かれても身を引くべきでしょう。ですが七々子の心は常識では抑えられませんでした。好きな人のためならどんな手段も辞さない――七々子の極端な行動には、もちろん首を傾げざるを得ません。しかし、誰かを好きになると人はここまで盲目になってしまうものかもしれない、とも感じました。恋をすると周りが見えなくなる経験は多くの人に思い当たる節があるのではないでしょうか。七々子の暴走は、その延長線上にある極端な例としてリアルに迫ってきます。七々子を通じて、人の心にはここまで危うい執着や激情が潜み得るのだと気づかされるようでした。もちろん、普通は理性が働いて七々子ほどの暴走はしないでしょう。しかし彼女の場合、一度スイッチが入ってしまったらもう歯止めが利かなくなってしまったのです。読んでいると、もし自分が七々子の立場だったらここまでしてしまうだろうか、と考えさせられます。

読みながら、七々子の自己中心的な言動には正直いらだちを覚えました。友人を裏切り、当時の恋人であった尚人さえも蔑ろにして突き進む姿はあまりに身勝手です。しかし一方で、そこまで一人の男性を想いつめてしまう彼女の純粋さやひたむきさには、共感とまではいかなくとも切なさを感じずにいられませんでした。人を好きになる気持ちの光と影、その両面を七々子という人物が体現しているように思えます。例えば、自分に尽くしてくれる尚人という恋人がいながら他の男性に心奪われてしまう点や、無防備に心を許してくれた美咲を平然と欺いてしまう点など、彼女の身勝手さには目に余るものがあります。それでもなお、七々子ほど一直線に突き進んでしまう人間は現実にもいるのではないか、と考えると恐ろしくもありました。しかも、七々子は「まだ結婚しているわけじゃない」「付き合っているだけならいつか別れるかもしれない」と都合よく考え、自分を正当化していた節もあります。そんな甘い言い訳をしてまで突き進んだ彼女の恋には、怖さすら覚えました。七々子は尚人に嘘を重ねて駿との密会を繰り返し、最終的には尚人との関係も破綻させてしまいます。尚人を裏切ることへの罪悪感も、駿への想いの前にはかき消されてしまったのでしょう。七々子のその情熱の代償として、失ったものの大きさも計り知れません。

一方、七々子に利用される形となった美咲の存在も、物語の中で大きな感情の軸となっています。美咲は明るく素直で、七々子にとっても魅力的な女性です。彼女が七々子を新しい友達として信じきっている場面では、その無防備な優しさがかえって痛々しく、読者として胸が締め付けられました。美咲は最後まで何も悪くありません。それだけに、友人に裏切られ恋人を奪われる彼女の姿には強い同情と憤りを感じました。誠実で前向きな美咲は読者から見ても好感の持てる人物だけに、物語の中盤以降で彼女が受ける仕打ちにはやりきれない思いが募りました。物語を読み進めるうち、いつしか七々子よりも美咲の幸せを願ってしまう自分に気づきました。もしかすると七々子自身、美咲と過ごすうちに本当に友情を感じてしまう瞬間があったのかもしれません。それだけに、美咲を裏切らなければ自分の恋を成就できないというジレンマは相当なものであったでしょう。

肝心の駿本人は、劇的な恋の渦中で比較的影が薄い存在にも感じられます。七々子と美咲という女性二人の間で揺れ動き、結果的に七々子を選ぶ彼ですが、その優柔不断さには男の幼さのようなものも垣間見えました。大切な恋人だった美咲との間に生じた不和に直面したとき、自分から誠実に向き合うよりも、たまたま側にいた七々子に流れてしまう駿の姿には、ある種の弱さが感じられます。七々子にとって駿は運命の男性のように映っていましたが、冷静に見れば彼はごく普通の青年とも言えます。それでも恋に落ちた当人には、相手が特別な存在に感じられてしまうものなのでしょう。駿自身の心理描写は深く語られませんが、その分、彼を取り巻く女性たちの感情から間接的に駿という人物像が浮かび上がってくるようでした。ある商品紹介では本作について「ありふれた若き日の恋愛物語。その中で見えてきたのは女性のしたたかな怖さと、男の幼児性」と評されていましたが、まさに七々子の貪欲さと駿の優柔不断さを言い表しているように感じます。駿は物語を動かす中心人物でありながら、彼自身の心情はさほど詳しく描かれません。むしろ彼は、七々子と美咲という二人の女性の感情を際立たせるための存在のようにも感じました。

恋愛における独占欲や嫉妬心の怖さも、本作の大きなテーマでしょう。七々子は駿を手に入れてから、一転して常に不安と嫉妬に苛まれるようになります。自分が嘘をついてまで奪った恋だからこそ、「今度は自分が同じように奪われるのではないか」という恐れが消えないのです。愛ゆえの執着がどれほど人を追い詰め、心を蝕んでしまうのか、七々子の姿はそれを如実に物語っています。よく「恋をすると女性は綺麗になる」とも言われますが、それは相思相愛の幸せな恋の場合の話でしょう。七々子のように『どうしてもこの人を自分のものにしたい』という独占欲に突き動かされた恋は、当の本人すら身を滅ぼしかねない危険を孕んでいます。七々子は夜もよく眠れないほど神経を尖らせ、手に入れた恋にしがみつくほど自分が壊れていくような感覚に囚われていきました。七々子は駿の些細な態度にも敏感に反応し、必死に愛情を確かめようとします。その姿は周囲の目には痛々しいほどでした。女性ならではの嫉妬や執着の怖さが描かれていますが、これは性別を問わず人間が持ち得る感情なのでしょう。そう思うと、本作のテーマは普遍的であり、読後には人の心の闇についても考えさせられました。

タイトルにもなっている「愛しても届かない」という言葉が、物語を読み終えて改めて深く胸に染みました。届かないからこそ諦めきれずに暴走してしまった七々子。しかし、どれだけ手を尽くして恋人の座を勝ち取っても、彼女の愛は最後まで真に相手に届かなかったのです。この皮肉なタイトルの意味するところに思い至ったとき、深い余韻が残りました。七々子の愛がもし途中で届いていれば、彼女は救われたのか、それとも一度手に入れた後に失うほうがより深い痛みを伴うのか――読み終えた後もそんなことを考えてしまいました。答えは簡単には出ませんが、それだけ本作の結末が心に重く響いたということだと思います。まさに「届かない愛だからこそ、諦められない」のだと痛感させられる内容でした。七々子の愛は最後まで真に相手に届かなかったのです。一途に思う心には偽りなどなかったはずなのに、結局は悲劇を招いてしまうという皮肉も印象的でした。

印象的なシーンはいくつもありますが、その一つが七々子と駿の関係が一気に深まる夜の描写です。抑えていた感情がついに爆発し、二人が一線を越えてしまう場面は、まさに章題の「愛がはじける夜」の通りに激情が迸ります。禁忌を破って結ばれたときの七々子の高揚と罪悪感が入り混じる心情描写は生々しく、読みながら息を呑みました。七々子がこの一線を越えてしまったことで、もはや後戻りはできなくなったという緊張感が伝わってきました。この夜を境に、彼女の中で何かが壊れてしまったのかもしれないと感じるほどです。例えば、静かな部屋で七々子が抑えていた想いを駿にぶつけ、次の瞬間二人が熱く抱き合うように描かれるくだりには圧倒されました。倫理を踏み越えてしまった背徳感と、それでも求め合わずにいられない人間の業がにじみ出ており、紙面から熱量が伝わってくるようでした。

また、美咲と駿の別れの場面も心に残ります。七々子の策略によって生じた些細な行き違いや不信感が積み重なり、ついに美咲が涙ながらに駿に別れを告げる場面は切なく痛ましいものでした。正直者で優しい美咲が傷ついていく様子は読むに耐えず、それでもその裏でほくそ笑む七々子の姿を想像すると、背筋に薄ら寒いものを感じずにはいられませんでした。その裏で、七々子は表向きは美咲を心配する友人として振る舞いながら、陰では駿との仲が壊れるのを待っているわけです。その二重の顔を思うとゾッとしました。クライマックス直前、美咲が涙ながらに駿に別れを告げるシーンでは、「もう疲れたの…」といった悲痛な言葉と共に美咲が去っていきます。駿も呆然と立ち尽くし、七々子は内心ほっとしながらも一抹の罪悪感に身を震わせていたことでしょう。この別離の瞬間は、恋の狂気が生んだ最も痛ましいシーンの一つでした。

終盤、再び美咲が七々子と駿の前に姿を現す場面には張り詰めた緊張感があります。久々に対面した美咲は穏やかな笑みを浮かべ、七々子も一瞬ほっとするのですが、その裏にどんな想いが潜んでいるのか読者には分かりません。かつて裏切った相手が何を考えているのか測りかねる怖さに、七々子と同じようにこちらの心臓も高鳴りました。美咲の微笑みの陰に隠された感情を想像すると、その静かな復讐の幕開けにゾクッとさせられます。美咲が柔らかく微笑むその姿は、一見すると過去のわだかまりなどないかのようにも見えました。しかし七々子にとっては、その微笑みがかえって底知れぬ怖さを感じさせるものだったのです。七々子は内心、平然と微笑む美咲の内側にかつての親友を裏切られた悲しみや怒りが潜んでいるのではないかと怯えたことでしょう。

そして七々子の恋が崩れ落ちる瞬間は、まさに因果応報とも言うべき展開でした。かつて七々子に恋人を奪われた美咲が、今度は静かに七々子から駿の心を奪い返していく展開には戦慄しました。自分が仕掛けたのと同じ手で大切な人を失っていく七々子の絶望は凄まじく、読みながら胸がざらつくような痛みを覚えます。彼女が味わった喪失感と孤独は、まさに自ら招いた報いとはいえ、あまりにも切ない結末でした。因果応報、自業自得といった言葉が頭をよぎりますが、それでもなお七々子の感じただろう喪失感を思うと胸が締め付けられました。駿の心が離れていくことを悟ったとき、七々子は文字通り取り乱します。あれほど強気で自信に満ちていた彼女が泣き崩れ、見苦しいほどにすがろうとする姿は痛ましく、同時にどこか哀れでもありました。昔から「人から奪った幸せは長続きしない」と言われますが、本作はまさにその言葉を地で行く物語でした。

印象的なのは、物語の始まりと終わりが現在の七々子の視点で描かれていることです。冒頭では職場の後輩から「好きな人に彼女がいたらどうするか」と問われ、言葉を濁した七々子。その問いへの答えが、物語本編の回想として綴られていたわけですが、エピローグで七々子は静かに自身の経験を踏まえた答えを口にします。そのシーンでは、彼女があの激しく身勝手な恋を経て何を思い至ったのかが示唆され、読後に深い余韻をもたらしました。なお、エピローグでは美咲も就職して日々を生きている様子が描かれており、その生き生きとした姿に七々子はひそかに胸を突かれる思いがしたことでしょう。また、七々子が後輩の恋の相談に乗る場面も印象深いです。彼女は自分の体験ゆえに軽率な助言はできませんが、それでも真剣に耳を傾けて後輩を案じる様子からは、過去の過ちを悔いている彼女の心情が垣間見えました。

唯川恵さんの筆致は繊細でいてスピーディーです。平易な文章で心理描写を巧みに織り交ぜながら物語が展開していくため、一度読み始めれば先が気になって止まらなくなるでしょう。序盤は女子大学生の日常から静かに始まりますが、七々子の秘めた想いが募るにつれて次第に不穏な空気が漂い、物語が進むほどに緊張感が高まっていきます。登場人物たちの感情の動きがあまりにリアルで、共感や嫌悪、同情や反発など様々な思いを喚起する力があると感じました。物語は終盤にかけて一気にクライマックスへと駆け上がり、最後まで読者を飽きさせません。文庫版は256ページほどの長編ですが、テンポが良いため退屈することなくスラスラ読めます。実際、寝る前に読み始めたら止まらなくなり一気に読んでしまったという読者の声もあるほどで、それも頷けるスピード感と吸引力のある小説だと思います。

また、本作では恋に身を焦がし自分を見失っていく女性像が描かれる一方で、七々子は現在パートでは仕事に邁進する自立した女性としても描かれています。そのギャップも興味深く、社会でしっかりと生きる彼女が一度恋の歯車に狂い始めるとここまで暴走してしまうという点が、現実にも起こり得るかもしれないリアリティを感じさせました。唯川恵さんの描く女性像は等身大で、生身の感情を持った存在として読者の心に迫ってきます。唯川恵さんは数々の恋愛小説で女性心理を描いてきましたが、本作はその中でも女性の愛の怖さに焦点が当てられた異色の作品とも言えるでしょう。実際にも、恋のもつれから人間関係が壊れてしまう例は世の中に少なくありません。本作の展開は誇張されているようでいて、決して絵空事ではないというリアリティが背後にあると感じました。ちなみに唯川恵さんは本作発表後、『肩ごしの恋人』で直木賞を受賞していますが、本作も彼女の恋愛小説の魅力が凝縮された一冊だと言えます。

読み終えたあともしばらく物語の余韻から抜け出せないかもしれません。決して爽やかなラブストーリーではありませんが、人間の持つ愛の狂気や弱さをここまで赤裸々に描いた点には強く心を揺さぶられるはずです。登場人物たちが最後に迎える結末は苦いものですが、その苦さゆえに読者の胸に深い印象が刻まれるでしょう。読了後、愛することと自分本位の執着との違いは何なのか、愛とは何かと改めて考えずにはいられません。恋愛の光と闇を描いた本作は、愛することと執着することの紙一重さ、唯川恵さんの作品の中でも特に読み応えのある一冊と言えるかもしれません。読み終えた後、唯川恵さんの作品を初めて読んだ方はその濃密な心理描写に驚き、ファンの方であれば改めてその筆力に唸らされることでしょう。後味は決してすっきりとはいきませんが、その生々しいリアリティゆえに心に強く残る物語だと言えるでしょう。胸に深い傷跡を残す物語ですが、それゆえに読む価値のある一冊だと感じました。私自身、読後には恋は人を狂わせる魔物にもなり得るのだと改めて思い知らされました。

まとめ

『愛しても届かない』は、恋の狂気とその果てを描いた作品です。恋する女性の恐ろしさと切なさがこれでもかというほど詰まっており、読み終えた直後は、しばらく余韻から抜け出せず、ぼんやりと考え込んでしまったほどです。言葉を失うほどの衝撃がありました。

誰かを深く愛することの美しさと危うさを同時に感じさせるこの物語は、読み手に強いインパクトを与えます。登場人物たちの葛藤は決して他人事ではなく、胸に迫るものがありました。愛した経験のある人にとって、本作は愛がいかに容易く狂気へと転じ得るかという警鐘のようにも響くでしょう。

唯川恵さんの巧みな心理描写によって、一人の女性が恋に溺れ破滅していく過程が生々しく描かれています。ファンの方はもちろん、恋愛小説が好きな方であれば心に残る一冊となるでしょう。また、普段はあまり恋愛小説を読まないという方にも、一度手に取ってみてほしい作品です。

本作は「届かない愛」に翻弄される人間模様を鮮烈に描き出した名作です。読み終えた後も、七々子の選択と結末について考えずにはいられなくなるでしょう。恋の光と影を描いたこの作品は、読者に深い余韻を残すに違いありません。